劇場都市TOKYO演劇祭WEBサイト上の開催概要に以前掲載されていました、『反権力が演劇や芸術の要であるかのような謂れを受け、今も根強くそのような言動が蔓延ることであるが、演劇が一般社会においてそのような印象を持たれることはその分野の未来的な展望を阻害することに他ならない。』との記述、並びにTwitter上の『反権力の呪縛に囚われる』との投稿について、及び演劇祭参加団体の参加経緯についてご説明いたします。
まず、開催概要の文面に関してですが、三劇場の代表による演劇祭実行委員会立ち上げの際に内部より「誤解を招きかねない」「行き過ぎている」との意見が出ており、プレスリリースの時には一旦削除したものが、手違いのままWEBに掲載されておりました。
確認不足であり、不手際によりお騒がせしてしまったことをお詫び申し上げます。
コロナ禍におきまして、様々な演劇関係者が政府に対して補助の申し入れを行い、その度に「普段は政府を批判しているくせに、困ったら権力にすり寄るのか」というような批判が相次いでおりました。
全ての演劇人を反権力と決めつけ兎にも角にも批判する方がいらっしゃること、それにより特に若い世代が委縮してしまい声を上げづらくなってしまっているという現状があります。
新たに演劇祭を立ち上げるに際し、このコロナ禍という窮状にて、闇雲に批判の的になる現状を少しでも変えたいという理念が念頭にありました。
今まで演劇を見たことのない方々が、業界の印象のみで批判することなく、とにかく一度見に来ていただきたい。そのことを目指しております。
権力や思想にこだわらず、ただ芸術を愛し携わっている人の割合が増えている、ひとつの時代を応援したい気持ちにおいて、意図自体は支持いたしました。
ただし、文面を整理する時間もなく、こういったご説明を申し上げるにも長くなりすぎてしまう事もあり、プレスリリース時に当該の文章を削除という事で納得いたしました。
もとより、政府への批判は正しい権利でありますので、個々の反権力であるそのこと自体を批判するつもりは全くありませんし、反権力を否定し権力にすり寄るという意図があったわけでもないという事をご理解いただきたく存じます。
現在声をあげていただいている演劇関係者に対しての批判が、まさにこういった構図であり、それを避けたいという思いがうまくいかなかったことを反省しております。
Twitterに関しては、企画担当者に任せきりになっていた事情があり、演劇祭事務局として投稿内容を確認できていなかったことが発端となります。
演劇祭自体が助成金に端を発したものであるため、企画を始めたのが昨年11月であり、演劇祭としてはあまりにも突貫だったということも原因となっており、劇場側としても、実務に関してはマンパワーを割くことができないためお任せしますとしておりました。
その企画担当者が、本演劇祭の開催意義よりも本来取り下げたはずの表現を優先した結果、『反権力の呪縛に囚われる』などと行き過ぎた文言になっておりました。
たとえ演劇祭自体が意図する発言ではないとしても、演劇祭のアカウントで発信している以上、責は演劇祭事務局にあります。
それにより不快な思いをした方々、とりわけ過去現在において演劇界の発展に注力していただいた方々や、それを応援してくださっている方々に対しまして、失礼な物言いになってしまったことを実行委員として併せて深くお詫び申し上げます。
参加団体に関しましては開催が急だったこともあり、既に各劇場の使用が決定していた団体にも演劇祭参加のお声がけをしております。
また、参加申込書に記載している開催意義に関する文面は、『まだ産声を上げたばかりの演劇祭ではありますが、皆様と共により良いものに作り上げていくことで演劇界を次の世代へと盛り上げて参ります。宜しくお願い申し上げます。』のみであり、これが私ども実行委員会の意図する開催意義でした。
順序としては、参加申し込み後に前述のような意図しない文言を含んだWEBやTwitterでの詳細が出たという事になります。
『演劇界を盛り上げたい』その一点のみで参加していただいておりますので、特定の思想に賛同している、作品内容に対する指示や要請などは一切ございません。
批判は私ども実行委員会及びそれを含めた演劇祭事務局のみに向けていただきますようお願いいたします。
実行委員会として三劇場三名で協議し、謝罪文を出すことの合意をしたはずが、現在もWEB管理の権限を実行委員会が持っていないため、未だ出せていない状態となっており、こういった形での謝罪、ご報告となっております。
劇場として、演劇に携わる者として早急にご説明をする必要があると感じ、公式の発表に先駆けて那須・高木の連名で出させていただきました。追って委員長佐山からのご報告がありますのでお待ちください。
ご報告までに時間が掛かってしまい、皆様をお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。
重ねてお願いいたしますが、くれぐれもご批判は演劇祭のみにとどめていただき、参加団体や関係者のみならず、演劇自体や、演劇祭に対しご意見をいただいている方々に対しても、一様に批判することのないようご配慮をお願いいたします。
このような状況において劇場として演劇祭からの脱退も協議しましたが、今後の演劇界を盛り上げることを第一に考え、最善は各問題を解決した上で来年再来年と演劇祭を続けていくべきであると考え、参加を継続することとなりました。
現在、実行委員会としては情報発信の担当者の変更、情報発信の際のルール作りなど、協議を重ねております。
皆様に不快な思いをさせてしまったこと、また参加団体や各関係者、応援していただいているお客様にご心配をお掛けしてしまったことを重ねてお詫び申し上げます。
誠に申し訳ございませんでした。
演劇を愛し、演劇界を盛り上げたいという言葉に嘘偽りはございません。
今後とも劇場都市TOKYO演劇祭をよろしくお願い申し上げます。
劇場都市TOKYO演劇祭実行委員会
シアター風姿花伝 那須佐代子
雑遊 高木エルム